座れなかった女性2016/08/24 23:04

ゆうやけ

朝の満員通勤電車で、通路の入り口付近に立っていると、わきをネコがすり抜けるかのように、頭から突き進む20歳台後半と思しき女性。
次のN駅で、いくつもの席が空くのを知っているのか、席の前を確保したいらしかった。
駅に止まると、彼女の前の席がほとんど半分くらい空いた。
ところが、彼女は降りる人たちに流されて、前に進めないでいる間に、席は埋まってしまった。
彼女は負けたのだ。しかもその席取りバトルで相当息があがっている様子。
しばらくして心が落ち着いたらしく、立ったまま文庫本を読み始めた。
そうして、私が下りるまで、およそ30分間、彼女は座ることが出来なかった。
たぶんその努力のありようで、明日はきっと座れることだろう。