暗幕のゲルニカ2016/07/05 23:13

物語の一極を構成するピカソの鳩

“憎しみの連鎖”を断ち切るための絵画。それがピカソのゲルニカだという“暗幕のゲルニカ”。
そうであるなら、かつてレイナ・ソフィアで見た「ゲルニカ」を、再び見るためにマドリッドへ行くべきではなかろうかと思ってしまうほどの内容だ。
そうして、もう一度「ゲルニカ」の前に立ったなら、その絵のもつ意味を受け止めることが出来たりするのではないか、と考えてもみるが、バルセロナのピカソ美術館の前まで行きながら、あまりの行列の長さに、入場をあきらめてしまったのは、たぶんわたしは、ピカソの絵を理解することが出来ないでいることが一番の理由だったに違いない。
妻が好きだというピカソだから、なんとなく付き合っているだけ、そんな程度なのかも知れない。
当時を思い浮かばされつつ、反省させられながら“暗幕のゲルニカ”を読み進む。
この圧倒的な結末を「了」とするかを問われたなら、私は「否」と言うしかないだろう。